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袋小路を散歩する

ミーハーなおたくの記録、ときどき映画案内

十二人の怒れる男(1957年)

シドニー・ルメット監督/アメリカ製作

蒸し暑い室内で白熱する議論!被告人は有罪か?無罪か?

十二人の怒れる男(コレクターズ・エディション) [DVD]

 押しも押されぬ名作映画。何度かリメイクされているが、これはシドニー・ルメット監督の作品。DVDパッケージはそこはかとなくカラーの雰囲気を漂わせているが(レンタル用パッケージに至っては完全にカラーだ)映画はモノクロなので注意。

 密室に集められた12人の陪審員たち。法廷で提出された証拠は被告人に不利なものばかりであり、満場一致で有罪に決まると思われた。しかし、一人の男が無罪を主張し室内は騒然となる。無罪を主張する男は、証人の証言や事件当時の状況をひとつひとつ確認し、再検証することを提案する。

 自分の頭で考えること、先入観にとらわれないことの難しさと大切さを改めて実感させてくれる映画。

 テンポのいい言い争いと、ストーリーが進むにつれて明らかになっていく、12人それぞれの個性的なキャラクターも見所のうちのひとつ。ぜひ字幕で観ていただきたい。どんどん緊迫していく展開に、画面に見入ってしまうこと間違い無し。

 果たして被告人は無罪なのか?そ れとも有罪なのか?

 これは蛇足だが、「12人の優しい日本人」(1991)というの映画もあるが、これはどうも…当時の世相や一般的な人物像を反映し過ぎて普遍性が著しく失われているため、いま観るとただ古臭いだけの作品となっている。映画というよりテレビドラマという感じ。現代版だとどうなるのか?と考えると少しは楽しいかもしれない。

2016年5月に観た映画リスト+いくつかについての感想

  1. 名探偵コナン 純黒の悪夢 (2016 日本) 
  2. エクソシスト(1973 アメリカ)

長期休暇の帰省などあり映画を全然観なかった死ぬ(死なない)。
成り行きで母とふたりでコナンを観た。スパイアクションサスペンスコメディアニメとして百点満点の映画ではなかろうか。日本の映画界はコナンが支えていると言っても過言ではない。来年も期待したい。
エクソシスト」は意外にも初見。ホラーは苦手だけどこれは観られる。なぜかな?

シャークトパス(2010年)

デクラン・オブライエン監督/アメリカ製作

まるで小学生ばりの発想力!サメの頭にタコの足をもつ、合体生物シャークトパス登場!

シャークトパス [DVD]

 サメ映画といえば皆さまご存知の「JAWS」が最も有名だが、アメリカでは2匹目のドジョウを探して数多くのサメ映画が作られている。大体は安っぽいCGでがっかりすることが多いが、「シャークネード」(2013)は海からやってきた台風によってサメが巻き上げられ、ロサンゼルスの街を襲うという突飛なシチュエーションで我々を驚かせた。捕捉するまでもないが、「シャークネード」とは「シャーク」+「トルネード」の造語である。チェーンソーで空から降ってくるサメをばっさばっさとなぎ倒していくシーンも非常に斬新。

 さて、そんな並み居るサメ映画の中で、ひときわ発想力が光るのが本作「シャークトパス」である。海の中でしか攻撃力を発揮できないというサメの弱点を、地上でも活動できるようにタコの足を下半身に据え付けることで補うという、小学生男子ばりの発想力で生まれた合体生物、それがシャークトパスなのだ。えら呼吸?そんなものは知ったこっちゃない。ストーリーの展開上、バンバン人が食べられていくが、景気良く血が出すぎてあまり怖くないのも良い所。ラストはもちろんシャークトパスを退治するわけだが、その方法も思わずずっこけてしまいそうなもので、B級映画のハチャメチャさを味わいたいときにおすすめする1作である。

ラストキング・オブ・スコットランド(2006年)

ケヴィン・マクドナルド監督/アメリカ,イギリス製作

西ヨーロッパの若者とアフリカの独裁者の危うすぎる関係

ラストキング・オブ・スコットランド [Blu-ray]

 1970年代のウガンダに降臨した独裁者イディ・アミンに偶然気に入られたスコットランド人医師が主人公。医大を出たばかりで世間知らずかつ自惚れ屋の彼は、無邪気に慕ってくるアミンと火遊び気分で友好を深めてみることにする−−。

 適当に女を引っ掛けたり、アミンに貰った高級車を乗り回してみたりする主人公。この軽薄な若者の目線で独裁者アミンの姿が描かれている。アミンといえば東アフリカのボクシングチャンピオンになったこともあり、ユーモアのセンスに溢れ、明るい性格で場を和ませることもあったと伝えられる一方で、”黒いヒトラー”や”人喰い大統領”と称され、前政権のオボデ派を弾圧、次々と処刑しその数は30万人にも及ぶと言われている大虐殺者である。主人公がその残虐性に気付いた時、ふたりの関係はどうなってしまうのか。

 アミンの二面性がとてもうまく描かれていて、ただ残虐さのみを描いたものよりリアリティを増している。

 これは戦争映画ではないが、理不尽な暴力に晒されるひとびとが出てくるのでこのカテゴリに配置した。ラストは凄惨なシーンの連続で、恐ろしく指と指の隙間から覗き見るほどだった。決して気持ちが落ち込んでいるときには見ないように。

ニューヨークの巴里夫(2013年)

セドリック・クラピッシュ監督/フランス,アメリカ,ベルギー製作

”青春三部作”ついに完結!40歳のグザヴィエがNYを走る!

ニューヨークの巴里夫(パリジャン) [DVD]

 「スパニッシュ・アパートメント」(2001)、「ロシアン・ドールズ」(2005)、と続いてきたセドリック・クラピッシュ監督の”青春三部作”がついに完結した。

 第1作目の「スパニッシュ・アパートメント」では、25歳のグザヴィエがスペインへ留学し、性別も国籍もさまざまな学生が住むアパートメントで共同生活を送ることとなる。異なる文化背景をもつルームメイトたちとの生活、パリに残してきた恋人とのすれ違い、新たな出会い、そして人生とは…若者の”青春”がギュギュッとつまった作品。画面に映し出されるバルセロナの美しい名所の数々も見所のひとつ。

 第2作目の「ロシアン・ドールズ」では、30歳になり仕事もそれなりに順調だが、自分が思い描いていた人生とは違うのではないかと日々悩むグザヴィエが描かれる。3作品の中では恋愛要素が一番多く、30歳になっても理想の恋人を求めてふらふらするグザヴィエのダメ男ぶりが堪能できる。前作のルームメイト達もそのままのキャストで登場。ぜひ第1作の記憶が薄れないうちに観て欲しい。

 そして第3作目が「ニューヨークの巴里夫」である。グザヴィエは40歳。仕事ではまずまずの成功を収め、愛する恋人と結婚し2児の父親となるなど、まるで順風満帆かに見えた彼の生活は、妻のこの一言で激変する。

”I can’t stay here.”

 オーマイゴッド。子供を連れてニューヨークへ行ってしまった彼女を追いかけ、パリを離れる決心をしたグザヴィエを待っていたものとは…。

 今作の舞台はNY。パワフルでエグゼクティブな金持ちもいれば、ごちゃごちゃしたチャイナタウンで生活する人々やダウンタウンに暮らす外国人もいる。端から見ているとグザヴィエのやってることはメチャクチャだが、自分の大事なものは見失わない。魑魅魍魎の蠢くニューヨークで、守るべきもののために奮闘する彼の姿が、前作、前々作と同じようにたっぷりのユーモアを散りばめながら描かれている。

 もしこのシリーズが気に入れば、同監督の日本初紹介作品「猫が行方不明」(1996)なんかも楽しめるのでは。

マディソン郡の橋(1994年)

クリント・イーストウッド監督/アメリカ製作

クリント・イーストウッドの渋い色気!愛とは?幸せとは? 

マディソン郡の橋 特別版 [DVD]

 舞台は古き良き1960年代のアメリカ。フランチェスカアイオワ州マディソン郡の片田舎で、農場主の妻として夫と息子・娘の四人で幸せに暮らしている。ある年の秋、他の家族が泊りがけで子牛の品評会へ出かけている間にフランチェスカはカメラマンであるロバートと出会う。孤独で繊細なロバートにフランチェスカは次第に惹かれていく−−。

 とにかくクリント・イーストウッド演じるロバートの色気がハンパない。フリーのカメラマンとしてひとり世界中を旅するロバートは、偏狭なひとびとに囲まれ平凡な生活を送るフランチェスカの閉ざされていた感情を、無意識(?)にこじ開けていく。ロバートとのおしゃべりを通じ、フランチェスカはこれまで何も考えず従ってきた因習が正しいものだったのだろうかと自問自答するようになる。

 ロバートは自由で思わせぶりな言葉でフランチェスカの心を揺さぶり、その上、しばしば孤独な子供のような目をしてじっとフランチェスカを見つめるのである。これはズルい。非常にけしからん男である。だがそれが良い。

 これをただの浮気映画と侮るなかれ。愛とは、家族とは、幸せとは何かを考えさせられる。名作と呼ばれているのも納得の一本である。

ミッドナイト・イン・パリ(2011年)

ウディ・アレン監督/スペイン,アメリカ製作

めくるめく黄金時代のパリへ!ロマンチストここに極まれり

ミッドナイト・イン・パリ [DVD]

 脚本家として安定した収入を得ているギルは、本当はずっと小説家になりたいと考えていた。書きかけの処女作を携えた彼は、婚約者イネスとその両親とともにパリに旅行へやってくる。ギルはかつて『狂乱の20年代』と呼ばれ、第一次世界大戦後の好景気に人々が浮き立ち、世界中の芸術家たちがパリのサロンに集まってさまざまな文化や芸術を生みだした黄金時代に心酔しており、憧れのパリにこのまま住もうとイネスに提案するが、すげなく断られてしまう。

 深夜0時。酔っ払ってひとりで街をさまようギルの前に古めかしいプジョーが現れた。誘われるままに乗り込むと、車が到着した先はなんと憧れ続けた1920年代のパリだった!コール・ポーター、ジョセフィン・ベイカー、 アーネスト・ヘミングウェイパブロ・ピカソなど錚々たる芸術家たちと出会ったギルは、次第に自分の将来について考えを改めていく。

 華の都パリに魅せられた男が魔法にかけられ、きらびやかなモダン・エイジの時代へタイムスリップするというロマンチスト垂涎の物語。セーヌ河岸やベルサイユ宮殿、モネの庭園など、パリの観光名所や街並みも楽しめる。ストーリーに深みはないので、ぼーっとしたいときにおすすめ。